つぎたす:店の接客を残し、忙しい時間の追加注文を支えるサービス
店主やスタッフとの会話を楽しみに通っている店があります。料理や飲み物だけではなく、顔を合わせて交わす言葉や、その店らしい気遣いまで含めて、また訪れたいと思える店です。
ただ、店が忙しくなると、追加の一杯を頼むという短いやり取りにも、お客様とスタッフ双方の待ち時間が生まれます。接客の良さはそのままに、必要な場面だけ別の注文方法を足せないか。そこから、つぎたすの制作が始まりました。
つぎたすは、こうした店の接客や初回注文を置き換えず、忙しい時間だけ追加ドリンクの注文窓口を増やすサービスです。お客様はテーブルのQRコードから自分たちのタイミングで注文をまとめ、店舗側は届いた注文を確認します。普段の対面注文や紙メニューはそのまま残し、必要な場面だけ臨時の窓口として使えます。
残したい接客と、短くしたい注文受付を分ける
小規模な店舗では、一人のスタッフが注文、提供、会計を行いながら、お客様との会話にも応えています。もう一杯頼みたくても、スタッフが忙しそうにしていると、お客様は声をかけること自体をためらいます。大人数の席では、一人が「ビールを一杯」と頼んだ後に「ほかにも頼む人はいますか」という確認が始まり、全員分が決まるまでスタッフがその場を離れられないこともあります。
その間にも、別のテーブルへの提供や注文、会話の機会は待っています。単なる数分の手間ではなく、注文、提供、接客のそれぞれに生じる機会損失です。
この問題に対して、店の注文すべてをセルフ化する選択肢もあります。ただ、それでは初回注文や着席時の案内まで画面操作へ変わり、店に通う理由になっていたやり取りまで減らしてしまうかもしれません。効率化したいのは接客そのものではなく、忙しいときに注文を受け取るためだけに拘束される時間です。
QR注文ではなく、追加注文を取りこぼしにくくする
つまり、注文したい人がいるのに、その注文が店へ届かない。届いたとしても、受け取るために別の仕事を止めなければなりません。
店にとって大事なのは、QRで注文できること自体ではありません。スタッフを呼べない場面にも注文の入口があり、次の一杯を取りこぼしにくくなることです。お客様は頼みたいタイミングを逃さず、店舗は目の前の提供や接客を中断せずに注文を受け取れます。
そこで、つぎたすが変える範囲を追加ドリンクだけに絞りました。システムが担うのは、お客様が次の一杯を頼みたいとき、その注文を店舗へ届けるところまでです。初回注文や接客、提供、会計など、店ごとに築いてきた流れにはできるだけ手を加えません。
ドリンクを対象にしたのは、追加で頼まれる機会が多いからだけではありません。お客様同士で注文をまとめられるため、スタッフがテーブルの横で一人ずつ確認する時間を減らせます。その時間を、料理や飲み物の提供、その店だからこそ生まれる会話へ戻すことを目指しました。
今の営業に、必要な入口だけを継ぎ足す
つぎたすは、初回注文からすべてをQRで受けるセルフオーダーシステムではありません。お客様は着席時にアプリ操作を求められず、会員登録も必要ありません。追加したいと思ったときだけ、テーブルのQRコードから注文を始めます。
決済や会計の機能も持ちません。QR注文を店舗運用の前提にはせず、紙メニューやスタッフへ口頭で頼む方法も残します。落ち着いている時間はこれまで通り会話の中で注文を受け、手が離せないときにはQRから受け取る。新しい仕組みへ店全体を合わせるのではなく、現在の営業へ必要な入口だけを継ぎ足します。
flowchart LR A[初回注文<br/>これまで通り対面で] --> B[食事・接客を続ける] B --> C[追加したいときに<br/>テーブルQRを読む] C --> D[ドリンクを選んで<br/>注文を送る] D --> E[店舗側の端末で<br/>新着注文を確認] E --> F[提供と会計は<br/>これまで通り]
お客様に、新しい手間を求めない
お客様向けの画面は、スマートフォンのブラウザで開くWebアプリとして提供しています。テーブルQRを読み取り、ドリンクを選び、カートで数量を確認して送信するまでを、アプリのインストールなしで完結できます。
注文後は、自分の注文履歴も確認できます。追加注文は席で完結し、店員が操作を手伝ったり、完了を待ったりする必要はありません。
営業中の扱いやすさを、導入の条件にする
店舗側では、ドリンクの登録・編集、価格や公開状態の変更、売り切れの切り替えを行えます。商品写真は任意です。素材を用意するために導入が止まらず、商品名と価格から始められるようにしました。
届いた追加注文は、新着順の注文票として店舗側のアプリに表示され、確認した注文を更新できます。テーブル用のQRも店舗側で管理し、カードを紛失したときは発行し直せます。
店を知るお客様が、店を支えられるようにする
将来は、お客様が撮影したドリンクの写真を店舗へ提供できる機能も追加する予定です。たとえば常連のお客様が、自分で撮った写真を店へ送り、メニューづくりを手伝えます。
これは、利用者が写真を公開する投稿機能ではありません。届いた写真をメニューに使うかどうかは、店舗が内容を見て決めます。お客様は写真で店を応援でき、メニューに何を載せるかは店が選べます。
現在の実装範囲と今後
現在は、店舗登録とログイン、ドリンクメニューの登録・編集・公開状態と売り切れの管理、テーブルQRの管理、お客様向けの追加注文、カート・注文履歴、注文票の確認済み更新までを実装しています。
複数の従業員端末での利用や新着注文の通知など、実際の営業中に必要な運用を整えながら、公開に向けた調整を進めています。
今の営業に、忙しいときの注文の入口を継ぎ足し、お客様のグラスには次の一杯を注ぎ足す。つぎたすは、店らしい接客を残したまま、その二つを自然につなぐサービスを目指しています。